2015年4月6日月曜日

熟成した酒を楽しむ

3年以上熟成した酒を
「古酒」とか「熟成酒」とか「熟成古酒」とか呼ぶのですが、
1年~2年熟成した酒につける名前はありません。

3年以上熟成した酒が古酒と呼ばれるのは別に良いのですが、
2年半熟成したものと3年熟成したものに、
絶対的な品質の差があるわけではありません。
熟成とは、アナログな時間の経過ですから、
酒は徐々に熟成していくわけです。

私は以前からヴィンテージをつけるべきと思っているのですが、
なかなかヴィンテージをつけてくれる蔵元は少ないのです。

ヴィンテージをつければ、
アナログな時間経過で0年からずっと熟成を追う楽しみができる。
どんな酒がどれくらい経ったものが一番美味しいか、
なんて酒の楽しみ方が出来る。

ヴィンテージをつけることが一般的になってくれば、
一方でヴィンテージをつけない酒、
複数年次のブレンド酒の意味も生まれます。
これこそ奥の深いプロの世界です。
マッサンの世界です。

皆様ご存知のとおり、
シャンパンハウスは、ノン・ヴィンテージのブランドを継続して販売するために、
このブレンド作業をしています。
他でもない、そのシャンパンハウスの味を、
再現性をもって造り続けるために、
ブレンドという作業をしているのです。

ブレンドとヴィンテージというと、
何となくヴィンテージの方が高級なイメージがあるかもしれませんが、
ブレンドの価値は極めて高いものですし、
その技術を磨くことで、他社との絶対的な差別化を図ることもできます。

さて、
そんな熟成した酒を楽しむ会を吉祥寺の「ハモニカ横丁」でやりました。
木戸泉・達磨正宗・東力士という、40年以上にわたって、
同一スペックの複数ヴィンテージの酒を貯蔵している蔵元の酒を、
チーズを切り口にした食事と楽しもうという企画です。

熟成酒は、実際に市場ではほとんど売れていませんが、
このような場で、食とのマリアージュを演出してみると、
誰もが感嘆の声を上げます。
本当に美味しいし、
何だか熟成酒でないと満足できなくなってしまうというような。

どうやら、「演出する」というところにキーポイントがあるような気がしました。
真剣に熟成酒を作り、
その市場を信じている人達とともに、
少し頑張ってみたいと思っています。

有志よ、集まれ!