2017年1月30日月曜日

ブランドへの憧れ

きっとマーケティングの永遠のテーマでしょう。
どうやったらブランド力を持つことができるのか。

どんなに良い酒を造っても、
たとえ自分の酒が鑑評会で首席をとったとしても、
ブランドとして認知されなくては、酒は売れません。
もちろん、まったく売れないわけではない。
努力次第で、そこそこは売ることができます。
でも、普通以上には売れないし、
頑張って売り続けなくては、売上を維持することもできません。

ブランド力を持って売れ続けている酒を見ると、
ジェラシーを感じてしまうのです。
どうやったら、うちの価値って伝わるのだろう?

外国の方をはじめ、日本酒のことを良く知らない方々と酒の話をして感じること。
彼らは、本当に日本酒のことを良く知りません。
ですから、こちらが強く勧める酒は 「おいしい」 と言ってくれるケースが多いのです。
自分のなかに、「おいしい酒」 の定義がない方々には、
信頼のできる他人やメディアからの情報は、「神の声」のようなものなのです。

ブランドとは、「安心」なのかもしれない。
ベストではなくても、これを選んでおけば、
少なくとも恥ずかしい思いはしなくて済む。
ファッションでも音楽でも、
グルメでもインテリアでも、
確かにそんな心理をもって、私たちはブランド品を選んでいます。

本当に自分の選択眼に自信を持っている方は、
ブランド品は選ばず、
安価なものから高級品まで、
広い選択肢のなかから、しっかりと選びます。

自信を持っている方は、それを人に伝え、人の高評価を得ることで自尊心を満たします。
それが口コミを呼ぶのでしょう。
オピニオンリーダーのブログやSNSも口コミの元になります。

様々なルートを通じて「売れる酒」が育ってゆくのです。
色々とやることが多くて面倒なのですが、
少なくとも良い酒を作ってさえいればいいというものではないでしょう。

私は流通の出身なので、
流通の役割というものを考える機会が多かったのですが、
今の時代に、流通がブランドを育てるという構図は、なかなか考えにくくなりました。
流通がブランド形成に関わることができるのは、
市場が幼い時代、まだ何も知らない人が多い時代。
専門メディアが育ち、
オピニオンリーダーが沢山現れてきた現在ではない気がします。
ゼロから価値を作り上げるような仕事が必要なのではないでしょうか。

ものを販売するって、本当に奥が深い。
市場を自由に操る術を知っていたら、どんなに楽しいだろう。
どんなに楽だろうと思いますが、
そんなものわかるはずもありません。

当たり前の結論ですね。

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