2015年1月24日土曜日

薫風の白い餡と日本酒

千駄木に 「薫風」 という、それはそれはユニークなお店があります。
つくださちこ さん という女性がやっています。

「和菓子と酒」をテーマにした店なのですよ、
と聞いてびっくり。
へぇ~、そんな店があり得るわけ… ってなもんです。

昔から酒飲みといえば辛党。
羊羹? そんなもん見たくもねぇ。
というのが相場だと思っていました。

でも確かに、時々羊羹好きな杜氏さんや酒飲みの方がおられるのも、
そういえば耳にしたことがあります。
なにより、つくださん自身の口から、
「和菓子と日本酒はとても良く合うんですよ」と
自信に満ちた言葉が出たものですから、
まぁ、ものは試しに行ってみようと、
ある日、おそるおそるお店に行ってみました。

お店があるのは千駄木の駅から3分くらい。
ふつう家が建ち並ぶの路地を入ったところ。
路地の入口からは、そこに何かのお店があるとはとても思えません。
お店の前に立って初めて 「あぁ、ここか」 と安心するような。
まさに隠れ家。

それほど広くない、落ち着いた店内には、
大きめのテーブルがひとつ。
その周りに椅子が8脚。
二人のご婦人のお客様がお菓子をつまみにお酒を飲んでいました。
「よくいらっしゃるのですか?」 と聞くと、
「はい、しょっちゅう。今日ももう3つめのお菓子を頂いているの。」 とのお言葉。

さっそく私も 「和菓子と日本酒」 の世界にトライだ。
5種類くらいのお菓子のメニューから白餡の羊羹を選び、
それに合う日本酒として、つくださんが栃木の「仙禽」を出してくれました。

びっくり!
カルチャーショック!

白羊羹といっても、普通の羊羹じゃない。
オレンジピールやクミン、グランマニエなどが入った、
ちょっとエキゾチックでスパイシーな羊羹です。
おりがらみでフレッシュな甘口の「仙禽」に素晴らしくマッチします。

つくださんは、協和発酵の研究部門におられた技術者だそうで。
だから、マリアージュの理屈も、妙に説得力があります。
曰く、両者を合わせるコツは2つ。
 ① 似た要素を見つける
 ② 足りない部分を補う

ということだそうです。

あまり感激したので、翌日また行ってしまいました。
そして1週間以内にもう一度。
和菓子と日本酒というものに、こんなに魅せられてしまうのが、
自分でもおかしいくらいでした。
完全につくださんの手のひらの上で転がされている私。

つくださんの創作する様々な和菓子。
でも、初体験の印象が強いせいなのでしょうか、
この白餡の羊羹が私には格別です。
汲めど尽きせぬ、このフュージョンな味の魅力。

彼女はきっと有名人になります。
つくださちこ という名前と 「薫風」 という店名を覚えておいて下さい。

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