2015年2月7日土曜日

東京港醸造

流通が進歩して、遠方からのチルド輸送が可能になったとはいえ、
生酒の流通にはどうしても心配が残ります。
流通過程での温度変化は、本来の酒のフレッシュ感を損ない、
熟成の進行を止めることができません。

一番美味しい酒を飲もうと思ったら、
蔵元で飲むしかない、というのが本来の生酒であると思います。

少し前の新酒は、粗くて、落ち着きがなくて、
しばらく置いてからでないと、とても飲めないものでしたが、
最近ではフレッシュな状態で飲む酒を造る蔵元が増え、
搾ってすぐに飲める軽快な生酒が流通するようになりました。
軽快でジューシーな生酒は、
今の清酒ブームを牽引する存在です。

醸造設備も進み、コンパクトな四季醸造蔵が現れました。
蔵元一人で酒を造り、一年中生酒しか造らないという
実に現代的で合理的な酒造りが行われるようになっています。
酒造りは、地方の1000坪もある歴史的建造物で行う時代ではなくなってきました。

こうなれば、
大消費地である東京に清酒のミニブルアリーが出来なくてはおかしい。
そう思っていました。
そこでしか飲めない魅力的でバラエティーに富んだ生酒。
レストランを併設して売店を置けば、必ずビジネスになる気がします。

クラフトビールが、着々と市場を広げています。
ミニブルアリーも増えています。
私の近所にある 「荻窪麦酒工房」は、
ほんの小さな一軒家で、ドラム缶のようなタンクに5種類のビールを仕込み、
いつも新しいフレーバーの楽しいビールを飲ませてくれます。
ペットボトルを持参すれば、量り売りしてくれるので、
家で出来たての生ビールを飲むこともできるのです。

クラフトビール先進のアメリカでは、
すでに数千軒のミニブルアリーがあると聞きます。
日本の市場も、間違いなく伸びると思いますし、
一大ブームになる可能性もある。

清酒業界は何をやっているのだろうと、イライラしていました。
そうしたら、あったのです。
東京港醸造。
三田駅から10分ほど歩いたビジネス街のど真ん中に、
まさにミニブルアリーという規模の醸造所がありました。

聞けば、既に4年前から営業していたとのことですから、
私の情報不足としか言いようがないのですが、
とにかく、200年前の江戸時代から、芝で酒造りをしてきた若松屋という蔵元が、
明治末期に廃業していたものを7代目・8代目の親子が復活させたという醸造所です。

但し、廃業の際に清酒免許を返上しているために、
現在も「その他醸造酒」の免許にて どぶろく を製造しているのです。
長く黄桜で製造をしていた寺澤善実さんを杜氏として迎え、
本格的などぶろくを造っておられます。
プロの造るどぶろくですから、
経済特区の民宿で造られるどぶろくとはレベルが違います。

早く、美味しい清酒の生酒が飲みたい。
そして、まだまだ清酒の楽しさを知らない多くの東京人たちに、
清酒を飲む楽しさと、奥深さを教えて頂きたいと、
心から応援したい気持ちになりました。

東京の人は、まず一度訪れてみて下さい。
少しわかりにくい場所ですが、
東京のど真ん中です。



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