2013年2月13日水曜日

僕がお燗酒を好きになったわけ 其の弐

ずばり、「おでん」です。

もう20年くらい前のことになるでしょうか。
久しぶりに会う友人と飲もうということになって、
折角だからおいしいものを食べたいな、と
前から気になっていた浅草の老舗おでん屋さんに行きました。

寒い冬の日で、
ぶるぶる震えながらも、
外に並ぶ列に混じって小一時間。
ようやく中に入ると、
鍋の前に立つおやじさんの笑顔に迎えられました。

お店とすると、
もうこの段階で「勝負あった」というところですか。
ポジティブな心構えは整っています。
あとは何が出てきても美味しく感じるはず。

でてきた関西風おでんの、
肩の張らぬやさしいおいしさ。
しっかり味のしみたタコのやわらかさ。
何も特別なものでないから、
古い友人との気楽な会話の邪魔もせず、
そっと寄り添ってくれました。

大多福 - 料理写真:

おでんには、どうしてこんなにお燗酒が合うのだろう。
びっくりするくらいにお酒がすいすいと、
身体にしみこんでゆきました。
初めての体験で、
びっくりしたのを、昨日のように思い出します。

鰻にしてもおでんにしても、
醤油と魚のうまみをベースにした味です。
そして、味付けには酒も入っているのでしょう。
そして、暖かい料理。

ワインと料理の相性に、
「似たものは溶かす」という言葉を聞いたことがあります。
難しい理屈は抜きにして、
まず似たもの同士は相性が良い。

この浅草のおでん屋さんでの体験が、
私にとってお燗酒の入口になったことは、
多分間違いないと思うのです。

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