2013年2月26日火曜日

磨かぬ酒

若手の蔵元の切磋琢磨が目立ちます。
若いからこそできる切磋琢磨。
欲得を越えた純粋な向上心というのでしょうか。

スティーブジョブズが亡くなって、
彼のスタンフォード大学でのスピーチを聴くのが日課になっているのですが、
彼は言っています。
「偉大な事業を成し遂げる唯一の道は、その仕事を愛すること。
そして自分が愛する仕事をしている限り、前に進み続けることができる。」

彼らの後ろ姿には、酒造りに対する愛欲を感じます。

最近目立ってきた若手たちの中でも、
私は新政の佐藤祐輔さんが気になって仕方ありません。
彼が世に問うている酒には、
軸があります。
ただやみくもに新しいモノを作っているのではなく、
目標とする点が感じられます。
その点は時間とともに変化するのかもしれませんが、
でも彼は、その時のベストを尽くして、
その点へ向かっている。
そんな生き方が感じられます。

 

新政は、全量純米化、添加物ゼロの藏になりました。
それを象徴する取組みが、この「純米酒90」だと思います。
低精白の酒を造ることは誰でもできますが、
この酒には、びっくりしました。
革命的と言ってもいい。
90%の精米歩合で、こんな純米酒を造ることができたら、
業界は大きく変わるだろうと思います。

ご本人のブログによれば、
問題は安定してこの酒質を確保することのようです。
まだバラツキがあるのでしょう。
でも、
ひとつの醪でも、こんな酒ができるのだとしたら、
 未来は明るい。

磨かぬ純米酒への取組みが、
共感を呼び、
新たな切磋琢磨に繋がることは間違いないでしょう。
頑張って欲しい。
そう思います。

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